異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
雪が降る。外へ出るときの外套もないのでは相当寒い。身体が戦慄くが、あまり感じなかった。頭の中は真っ白だが、身体は勝手に動いて一粒ずつ拾い始める。
エプロンをしていたので、そのポケットに入れてゆく。一粒、また一粒。
――あぁ、濡れてしまった。日干しにした豆なのに。
指先が雪の冷たさで赤くなってゆくが、止める気はない。一つに括っていた髪が、走ったのと、地面の位置から豆を拾う動きによってするりと紐が外れた。すると彼女の黒髪が散らばって背中に広がる。
少しでも温かくなった肩や背中は、髪が雪で濡れてゆくと重くなり冷たくなった。黒髪の上に降り積もる白い雪は、メグミまでも埋めていってしまいそうだ。
中庭は建物に囲まれていて、それぞれの二階から眺めることができる。そのため、奇妙な行動をとっているメグミを、鈴なりになって見ている者たちもいた。
手伝おうとして一階から出てくるのは、いつも敵対しているような同じ厨房の料理人たちだ。けれどメグミは首を横に振って止めた。
「朝の軽食と、午餐の準備があります。私は一人でも大丈夫です。厨房へ戻ってください」
彼らの邪魔はできない。迷いつつも去ってゆく姿には、助けようとしてくれたことへの感謝しかないので、しゃがんだ格好で頭を下げる。そしてまた拾う。
足を取られ、よろりと傾いた身体を支えきれずに雪の上に膝を突いた。それでも散らばる小豆に手を伸ばして拾ってゆく。
エプロンをしていたので、そのポケットに入れてゆく。一粒、また一粒。
――あぁ、濡れてしまった。日干しにした豆なのに。
指先が雪の冷たさで赤くなってゆくが、止める気はない。一つに括っていた髪が、走ったのと、地面の位置から豆を拾う動きによってするりと紐が外れた。すると彼女の黒髪が散らばって背中に広がる。
少しでも温かくなった肩や背中は、髪が雪で濡れてゆくと重くなり冷たくなった。黒髪の上に降り積もる白い雪は、メグミまでも埋めていってしまいそうだ。
中庭は建物に囲まれていて、それぞれの二階から眺めることができる。そのため、奇妙な行動をとっているメグミを、鈴なりになって見ている者たちもいた。
手伝おうとして一階から出てくるのは、いつも敵対しているような同じ厨房の料理人たちだ。けれどメグミは首を横に振って止めた。
「朝の軽食と、午餐の準備があります。私は一人でも大丈夫です。厨房へ戻ってください」
彼らの邪魔はできない。迷いつつも去ってゆく姿には、助けようとしてくれたことへの感謝しかないので、しゃがんだ格好で頭を下げる。そしてまた拾う。
足を取られ、よろりと傾いた身体を支えきれずに雪の上に膝を突いた。それでも散らばる小豆に手を伸ばして拾ってゆく。