異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
メグミが顔を上げて、倒していた上半身を起こすと、目の前に袋が差し出される。
思わず両手で受け取った。ずっしりと重い。
「これは……」
「俺の畑でも栽培していただろう? 収穫も終わっている。日干しにしたときに虫に食われないよう注意できたのは、くどいくらい言ったお前の忠告のお蔭だ。人手もあったから細かな世話もできた。収穫は大量だったぞ」
彼女が育てた小豆は、収穫のころにジリンの屋敷へ住居を変えたり、試験のことで頭がいっぱいだったりしたせいもあって、十分手が掛けられず半分以上虫にやられた。
「メグミ。これを使え。元々、お前が俺に渡した小豆からできたんだ。あの時の分を返すぞ」
笑っているコンラートの顔と、片手では持てない重さの麻袋を、メグミは交互に見る。はらはらと涙が零れているのには気が付かない。
「お前は、俺がコランとして王都をふらふらしていた目的を知っている数少ない人間の一人だ。おまえに菓子を依頼すのは、俺が味わいたいのと、もう一つ、その目的のためだというのも知っているな。仲間として見てくれるなら、困ったときには俺に助けを求めろ」
彼がテツシバへ来ていたのは、和菓子を食べたいためだった。
王都の様々な場所を気まぐれな動きで回っていたのは、新しい産業の種を探していたからだ。他の国と戦わずに国と民を養うために。
昔からメグミは、和菓子が好きだから作って、たくさんの人に食べてもらいたいという思いがあった。いまはそこへ新たな気持ちが重なっている。
少しでもこの人の助けになれるなら、と思っている。
足を引っ張るためにここにいるのではない。
思わず両手で受け取った。ずっしりと重い。
「これは……」
「俺の畑でも栽培していただろう? 収穫も終わっている。日干しにしたときに虫に食われないよう注意できたのは、くどいくらい言ったお前の忠告のお蔭だ。人手もあったから細かな世話もできた。収穫は大量だったぞ」
彼女が育てた小豆は、収穫のころにジリンの屋敷へ住居を変えたり、試験のことで頭がいっぱいだったりしたせいもあって、十分手が掛けられず半分以上虫にやられた。
「メグミ。これを使え。元々、お前が俺に渡した小豆からできたんだ。あの時の分を返すぞ」
笑っているコンラートの顔と、片手では持てない重さの麻袋を、メグミは交互に見る。はらはらと涙が零れているのには気が付かない。
「お前は、俺がコランとして王都をふらふらしていた目的を知っている数少ない人間の一人だ。おまえに菓子を依頼すのは、俺が味わいたいのと、もう一つ、その目的のためだというのも知っているな。仲間として見てくれるなら、困ったときには俺に助けを求めろ」
彼がテツシバへ来ていたのは、和菓子を食べたいためだった。
王都の様々な場所を気まぐれな動きで回っていたのは、新しい産業の種を探していたからだ。他の国と戦わずに国と民を養うために。
昔からメグミは、和菓子が好きだから作って、たくさんの人に食べてもらいたいという思いがあった。いまはそこへ新たな気持ちが重なっている。
少しでもこの人の助けになれるなら、と思っている。
足を引っ張るためにここにいるのではない。