異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
「メグミ、時間があるようなら、私に付き合ってくれないか?」

神妙な顔でベルガモットに言われて、メグミも神妙になって返す。

「それは構いませんが、ベルガモットさんは休まなくてもいいのですか?」

「あれくらいは日常茶飯事だ」

彼のあとをついて行った先は、誰もいない第二調理場だった。ここにあまり人がいないのは、予備の調理場だからだろう。

作業台のところに椅子を設置して、それぞれに座るとすぐに、ベルガモットはメグミに謝罪をしてきた。

「いままで、酷いことをしてすまなかった」

「? 酷い事ってなんですか」

座っていても高身長だから、結局メグミは見上げることになる。

言われても思い当たらないので虚を突かれた表情になった。ベルガモットは困ったようにして続ける。

「妬まれるのが分かっていて贔屓したことだ。潰すなどと言って、菓子作りを道具にした。すまない」

「贔屓ってなにを? 部屋のこととか、調理場の責任者と立場が同じとか? そういうのは陛下からのご要望だったと聞きましたが」

「そうだが……。私の裁量に任せるとも言われていた」

コンラートがなにかをしたというのは、下女中のアルマがちらりと言っていた。
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