異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
扉の外で待っていた侍従に先導されて居室から出てゆくメグミに、ジリンは行き先を教えてくれなかった。長々と廊下を歩いてゆく。一階へ下りてから庭へ出た。
夜の帳はすっかり下りていて、小道を歩くのが怖いが、侍従が持つ明かりがメグミを連れてゆく。冬の最中らしく相当寒いが、空は美しく夜の散歩も悪くない。
――別世界みたいね。あ、すでにここが別世界だった。
小道には外灯があって真っ暗ではない。そしていきなり広い場所へ出た。
「あちらに見えるのが温室です。どうぞあそこへお出で下さい。私はここで失礼いたします」
「ちょっと待って」
止める声も空しく、侍従は去ってしまった。メグミは明りが灯されている温室へ向かって歩く。外から見ても相当大きな温室だ。まっすぐ行けば入り口だったので、そこの戸を押して開くと、中へ向かって声を掛けた。
「こんばんは。どなたかいらっしゃいますか」
「俺だ」
奥から出てきたのは、王の衣服を纏ったコンラートだった。これはなんとなく予想していた事態だ。メグミにドレスを着せるようジリンに依頼したのは彼だろうか。どういう意図があるのだろう。
夜の帳はすっかり下りていて、小道を歩くのが怖いが、侍従が持つ明かりがメグミを連れてゆく。冬の最中らしく相当寒いが、空は美しく夜の散歩も悪くない。
――別世界みたいね。あ、すでにここが別世界だった。
小道には外灯があって真っ暗ではない。そしていきなり広い場所へ出た。
「あちらに見えるのが温室です。どうぞあそこへお出で下さい。私はここで失礼いたします」
「ちょっと待って」
止める声も空しく、侍従は去ってしまった。メグミは明りが灯されている温室へ向かって歩く。外から見ても相当大きな温室だ。まっすぐ行けば入り口だったので、そこの戸を押して開くと、中へ向かって声を掛けた。
「こんばんは。どなたかいらっしゃいますか」
「俺だ」
奥から出てきたのは、王の衣服を纏ったコンラートだった。これはなんとなく予想していた事態だ。メグミにドレスを着せるようジリンに依頼したのは彼だろうか。どういう意図があるのだろう。