異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
サユリは両手で皿を持っていて、蒸した菓子が山盛りに載せられている。

だんご類は、下拵えはメグミがやって、二人のうち手が空いている方が焼いて客に渡すという段取りを決めてあるが、その他の菓子は分業を基本としている。

生菓子である練り物は細工も入れてメグミが担当する。蒸し物はサユリだ。

作業台の下にあった和菓子つくりに必要なさまざまな道具も一緒に移動して来たのはとても良かった。

蒸し器も、比較的大きな丸型と、形を作れて密閉度の高い長方形の型の二つが手元にある。上新粉やもち米などを蒸すときに使う目の細かな布巾は、予備の新品を含めてそれなり枚数があった。ガスが竈や炭火箱になっても、道具は十分に使える。

足りないものは、メグミが近所の左官屋と家具屋と建具屋が合わさったような店の店主に頼んで手作りしてもらった。

『こういう感じ。え? 感じじゃ分からない? そうか。じゃ、絵で描くから』

そんなやり取りを何度も行った。サユリはそのときの大きな鍋がお気にいりで、普段食べる米も炊いている。

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