異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
手で持った皿に目をやったサユリは、自分が作ったものへ注意を向けられたのが嬉しかったのか、それとも『綺麗』という一言が効いたのか、目を細めて笑った。

「サツマイモたっぷりの鬼まんじゅうです。作り立てであったかいですよ。食べられます?」

時の流れと同じで季節も元の世界とほとんど変わらないせいか、作物も同じだ。

「ぜひ頼む。食べてみたい」

お茶の用意をするために動き出したメグミは、サユリから皿を受け取って奥の調理場へ向かう。コランはサユリに訊く。

「サツマイモか。この時期によくあったな。そろそろ終わるとはいえ、まだ夏のうちだろうに。イモ類は秋だろう?」

サユリがころころと笑ってコランに答える。

「大通りのお米屋さんが、たまたま北の方から仕入れた品物に混ざっていたとか言われて。くださったんです。それで作ってみました。あとでお礼に、幾つかお米屋さんへ届けなくてはね」

「母さんは、夕方大通りへ出かけるでしょ。その時に持ってゆけばいいわ。五個くらい取り置いておくね」
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