異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
彼女は畳み終えると、正座の状態で顔を上げ、近くにある大きな窓を眺める。
そろそろお茶の時間だろうか。冬の陽は足が早い。一日の終わりが近づいていた。
――テツシバも手入れをしないと痛むばかりになる。いつかは、終わりが来るとしても、いまは守りたい。
メグミは着物を横に置き、膝の上に手を置いてコンラートへと視線をピタリと当てる。
「陛下」
「どうした、改まって。……コランだろう?」
「陛下。私はテツシバへ帰ろうと思います」
コンラートの小豆色の眼に動揺が走る。彼はメグミを強烈な視線で捉えた。
「それは、城を出るということか? たまのことだから休暇がほしいということか? 戻って来るんだろうな」
「いいえ。テツシバは父と母の形見の店です。守りたいのです。そのために帰ります。王城へは、戻りません」
「メグっ」
呻くような叫びはいっそ聞き取り難い小さな声だった。
片膝を突いていた彼は、片手で自分の顔を半分覆って頭を左右に振る。押さえがたい激情の迸りが目に見えるようだ。コンラートの腕が伸びてきてメグミを抱きしめる。
そろそろお茶の時間だろうか。冬の陽は足が早い。一日の終わりが近づいていた。
――テツシバも手入れをしないと痛むばかりになる。いつかは、終わりが来るとしても、いまは守りたい。
メグミは着物を横に置き、膝の上に手を置いてコンラートへと視線をピタリと当てる。
「陛下」
「どうした、改まって。……コランだろう?」
「陛下。私はテツシバへ帰ろうと思います」
コンラートの小豆色の眼に動揺が走る。彼はメグミを強烈な視線で捉えた。
「それは、城を出るということか? たまのことだから休暇がほしいということか? 戻って来るんだろうな」
「いいえ。テツシバは父と母の形見の店です。守りたいのです。そのために帰ります。王城へは、戻りません」
「メグっ」
呻くような叫びはいっそ聞き取り難い小さな声だった。
片膝を突いていた彼は、片手で自分の顔を半分覆って頭を左右に振る。押さえがたい激情の迸りが目に見えるようだ。コンラートの腕が伸びてきてメグミを抱きしめる。