異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
王城の中では、公爵として政務に関わるジリンの姿も垣間見たが、柔和な表情でメグミを見守るまなざしを寄せてくれるのもこの人だ。家族で異世界へトリップして右も左も分からないころからのお得意様なのだった。
顔を上げたメグミにジリンは静かな口調で話す。
「手段というだけでなく、わしは一人になったお前を養女にしたいと思っておった」
はっとする。ジリンはメグミとコンラートの間でなにがあったのか知っている。
「なぁ、メグ。そういう方法もあると覚えておけ。お前の頑固さは見事なほどの一途さの表れだろうが、相手のために膝を折るという知恵が必要とされるときが来るかもしれんからの」
「ジリン様……」
親の忠告のようだった。もしかしたら、テツジが生きていたら同じことを言っていたかもしれない。
「ま、テツシバにいるならすぐにまた会える。これでみたらしだんごが食えるかと思うと、それはそれで嬉しい」
ジリンは、町で接していたときと同じ、柔らかな笑みを浮かべた。
王城では、タレを付けた四個刺しのだんごよりも、見掛けを先に考えなければならなかった。テツシバへ戻れば、町の子供たちのためにもだんごを作る。もちろん、お得意様のためにも。
メグミは満面の笑顔になる。
「どうぞいらしてください。お待ちしています。それではこれで失礼致します」
再び深く頭を下げてから、メグミはジリンの居室を出た。
顔を上げたメグミにジリンは静かな口調で話す。
「手段というだけでなく、わしは一人になったお前を養女にしたいと思っておった」
はっとする。ジリンはメグミとコンラートの間でなにがあったのか知っている。
「なぁ、メグ。そういう方法もあると覚えておけ。お前の頑固さは見事なほどの一途さの表れだろうが、相手のために膝を折るという知恵が必要とされるときが来るかもしれんからの」
「ジリン様……」
親の忠告のようだった。もしかしたら、テツジが生きていたら同じことを言っていたかもしれない。
「ま、テツシバにいるならすぐにまた会える。これでみたらしだんごが食えるかと思うと、それはそれで嬉しい」
ジリンは、町で接していたときと同じ、柔らかな笑みを浮かべた。
王城では、タレを付けた四個刺しのだんごよりも、見掛けを先に考えなければならなかった。テツシバへ戻れば、町の子供たちのためにもだんごを作る。もちろん、お得意様のためにも。
メグミは満面の笑顔になる。
「どうぞいらしてください。お待ちしています。それではこれで失礼致します」
再び深く頭を下げてから、メグミはジリンの居室を出た。