異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
次に向かったのはベルガモットのところだ。
午餐の準備が始まる直前の時間を狙って行った。厨房から廊下へ出てもらい、そこで城から出ることを伝えてぐっと頭を下げる。
「テツシバへ帰ります。お世話になりました」
「そうか」
ベルガモットが、詳しい事情など聞かないでいてくれたのにほっとする。彼は、業務連絡さながらの平坦な声で返してきた。
「春祭りがある。王都にある店舗の一つとして、屋台を出すだろう? あんこのことで打ち合わせをしたい。一度お前の和菓子屋へ行こうと思うが、どうだろう」
「屋台! 参加します。いつでもいいのでどうぞテツシバへお越しください」
王都の祭りは庶民主体で開催されるが、主催者は政治経済を導く王城となる。それでも料理長が動くのは格別なことに違いない。しかも呼び出しではなくテツシバへ来てくれるのだ。
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