異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
感謝のまなざしを向ければ、ベルガモットは少し躊躇う。
「……私は春あたりにはいないだろうから、別な者が行くかもしれないが」
「いないって、どうしてですか?」
「グレイ公爵が私を罷免する手続きに入った。いずれ次に引き継ぐことになる」
もしかしたら原因は自分にあるのではないかと思った。
「私のせいですか? 私を潰せなかった……いえ、庇ってくださったから」
「いいや。私が自分で考えて行動した結果だ。お前がなにかを思う必要はない」
ベルガモットが言わないなら、これ以上聞いてはいけないのだろう。ジリンにお願いすれば新たな後見になってもらえるとしても、そうなると今度は“蝙蝠”などと陰口をたたかれるかもしれない。
鈍いと言われがちのメグミでも、王城の中がどういうものか少しは理解できる。
ジリン公爵とグレイ公爵は誰の目にもはっきりしている政敵だから、勢力の間を行き来する者は、誰からの信頼も失くしてしまう。
けれどこれだけは伝えたいと思って、メグミは彼に言う。
「陛下はベルガモットさんの料理の腕を認めていらっしゃいますし、厨房の指揮を執る者として信頼しておられます。きっと陛下が考えてくださいます」
コンラートが最初の段階でメグミについてベルガモットにあれこれ言ったのは、信頼しているからに他ならない。
ベルガモットは静かに笑った。
「先のことは分からんが、私は自分が納得できる料理を作るだけだな」
メグミは微笑して応えた。
「私もそうです」
厨房に集まる料理人たちに別れの挨拶をした。和菓子つくりの道具類は、テツシバの物に限りすでに持ち出している。
「……私は春あたりにはいないだろうから、別な者が行くかもしれないが」
「いないって、どうしてですか?」
「グレイ公爵が私を罷免する手続きに入った。いずれ次に引き継ぐことになる」
もしかしたら原因は自分にあるのではないかと思った。
「私のせいですか? 私を潰せなかった……いえ、庇ってくださったから」
「いいや。私が自分で考えて行動した結果だ。お前がなにかを思う必要はない」
ベルガモットが言わないなら、これ以上聞いてはいけないのだろう。ジリンにお願いすれば新たな後見になってもらえるとしても、そうなると今度は“蝙蝠”などと陰口をたたかれるかもしれない。
鈍いと言われがちのメグミでも、王城の中がどういうものか少しは理解できる。
ジリン公爵とグレイ公爵は誰の目にもはっきりしている政敵だから、勢力の間を行き来する者は、誰からの信頼も失くしてしまう。
けれどこれだけは伝えたいと思って、メグミは彼に言う。
「陛下はベルガモットさんの料理の腕を認めていらっしゃいますし、厨房の指揮を執る者として信頼しておられます。きっと陛下が考えてくださいます」
コンラートが最初の段階でメグミについてベルガモットにあれこれ言ったのは、信頼しているからに他ならない。
ベルガモットは静かに笑った。
「先のことは分からんが、私は自分が納得できる料理を作るだけだな」
メグミは微笑して応えた。
「私もそうです」
厨房に集まる料理人たちに別れの挨拶をした。和菓子つくりの道具類は、テツシバの物に限りすでに持ち出している。