異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
苦笑と共にメグミは答える。
「あの方と私では、天と地ほどの身分違いです。なによりも、私は和菓子職人でいたいから、王妃にはなれません」
「……ったく、無器用なんだから。私だって身分違いという泥沼に嵌っているのよ。メグミとは共闘したかったのに」
「え?」
ローズベルは、ベルガモットが好きなのだと告白してきた。
婿を取りたい公爵の一人娘と、王城の料理長とはいえ庶民の出だから、メグミほどでなくても身分違いになる。
こちらの世界において、身分違いを越えようとするなら、本人たちも辛いなら周囲も相当な迷惑を蒙るに違いない。
ため息を吐いたローズベルは天井を仰ぎ見る。
「あなたとは逆の身分違いになるわね。おまけにジルは……ベルガモットのことよ。ジル・ベルガモットはね、かちんこちんに頭が固いの。あなたと通じるところが有るでしょう? まずはそこから崩したくて、機会があれば迫ることにしたのよ」
「迫る? なにかしたんですか?」
ふふんと言った感じで背を反らしたローズベルは、似たような身長なのに上から目線で言い放った。
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