異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
試験の部屋を走り出て行ったのはアルマの弟だった。
「最初から決まっていたわけじゃないよ。陛下に聞いてもらえば分かるけど……、会うのはちょっと難しい相手だけどね」
下女中が面会するには、非常に困難な相手だ。ちょっとどころではない。
「料理長に確かめました。あの試験は正当だったと言われたんです。料理長は『お前の弟のケーキを食べなかったのは、私の奢りだった』と言われて謝罪までしてくださいました。……だから、証言したんです」
その証言でグレイ公爵は失脚、エディが跡を継いでベルガモットの罷免を取り消した。不思議な流れだ。
「私たち姉弟の両親は早くに亡くなっています。それなりに苦労しました。親がいてくれたらと何度も思って、何度も親の名が刻まれた墓碑の前で泣きました。それなのに私は。ただの絵ではなかったのに、私は……! ……すみませんでした」
この世界の人からしたら、絵にしか見えないのはメグミにも分かっている。身の回りの世話をしてくれるアルマに、大切な物という以外に説明をしなかったのはメグミの落ち度だ。
「灰になってしまった物は戻らない。だけどね、理由を話してくれて謝罪もしてくれたから、許すこともできるよ。だから、アルマも前を向いて立ち直ってほしい」
「最初から決まっていたわけじゃないよ。陛下に聞いてもらえば分かるけど……、会うのはちょっと難しい相手だけどね」
下女中が面会するには、非常に困難な相手だ。ちょっとどころではない。
「料理長に確かめました。あの試験は正当だったと言われたんです。料理長は『お前の弟のケーキを食べなかったのは、私の奢りだった』と言われて謝罪までしてくださいました。……だから、証言したんです」
その証言でグレイ公爵は失脚、エディが跡を継いでベルガモットの罷免を取り消した。不思議な流れだ。
「私たち姉弟の両親は早くに亡くなっています。それなりに苦労しました。親がいてくれたらと何度も思って、何度も親の名が刻まれた墓碑の前で泣きました。それなのに私は。ただの絵ではなかったのに、私は……! ……すみませんでした」
この世界の人からしたら、絵にしか見えないのはメグミにも分かっている。身の回りの世話をしてくれるアルマに、大切な物という以外に説明をしなかったのはメグミの落ち度だ。
「灰になってしまった物は戻らない。だけどね、理由を話してくれて謝罪もしてくれたから、許すこともできるよ。だから、アルマも前を向いて立ち直ってほしい」