異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
丸めたものから四個ずつ刺してゆく。彼女の口から歌が漏れ始めた。
「だんご、だんご、だんご四姉妹~」
テツジやサユリの死は受け入れている。一人で和菓子を作ってゆくのを決めたのは自分だ。けれど、いま生きている人に逢いたいという想いが募るのは抑えきれない。
「一生懸命長女、長女。遊びたいのは四女、四女、次女も三女も要領いいよ~、だんご四姉妹~」
だんごを作るのが楽しくて歌っているはずなのに、ぽろぽろと涙が零れた。
思わず本音が漏れて出る。
「コラン様――逢いたいよ……」
粉だらけの手の甲で目元を拭ったとき、がたんっと音がして戸口から入ってきた者がいる。驚いたメグミがそちらを見れば、コンラートが、王都のふらつき男・コランの姿でそこにいた。
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