異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
「メグの父親はどういう人だったんだ? 農家でうるち米を見つけて、港にある粉ひき屋に持って行ったと話していたな。この国に上新粉というものは、元々なかったはずだ。そうやって作らない限りは」
「コラン様が初めてこちらへ来られたのは半年前でしたから、父とは入れ替わりになったようなものです。顔を合わせるのは、どうしたって無理でしたね」
「……一度くらい、話をしてみたかったな」
テツジなら、コランの疑問にもたくさん答えられただろう。
和菓子が非常に珍しい……というより他にはないものであり、もしかしたら似たような菓子を作る国があったとしても、“和菓子屋”はこの世界でテツシバだけだということを、いつかコランに話すことがあるだろうか。
「父さんは、和菓子の材料を集めるためにすごく頑張りました。『美味しい菓子のためには材料も良いものを使わなくてはならん』と昔から言っていて、だから材料の材料? 原材料にも詳しかったし、それを作る方法も知ってた。……私とは違うな……」
目の前には人が行き交う道がある。そこから目線を空へと移動させたメグミは、この夏最後かもしれない入道雲を眼に映しながら、最後は口の中で呟いた。
「コラン様が初めてこちらへ来られたのは半年前でしたから、父とは入れ替わりになったようなものです。顔を合わせるのは、どうしたって無理でしたね」
「……一度くらい、話をしてみたかったな」
テツジなら、コランの疑問にもたくさん答えられただろう。
和菓子が非常に珍しい……というより他にはないものであり、もしかしたら似たような菓子を作る国があったとしても、“和菓子屋”はこの世界でテツシバだけだということを、いつかコランに話すことがあるだろうか。
「父さんは、和菓子の材料を集めるためにすごく頑張りました。『美味しい菓子のためには材料も良いものを使わなくてはならん』と昔から言っていて、だから材料の材料? 原材料にも詳しかったし、それを作る方法も知ってた。……私とは違うな……」
目の前には人が行き交う道がある。そこから目線を空へと移動させたメグミは、この夏最後かもしれない入道雲を眼に映しながら、最後は口の中で呟いた。