異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
もっと学びたかった。彼女はまだ和菓子職人の卵に過ぎない。師匠のいない卵だ。
テツジは和菓子のことならなんでも知っていたし、異世界へ来ても作り続けるにはまず材料の確保が大事だとすぐに気が付いた。
『食品庫に貯蔵してある粉類や、カメに貯めてあるたれが尽きたら、それで終わりになっちまうな』と、夜中にぽつりと口にしていた。
他の職に就くとか、この世界にある西洋料理的な方面に鞍替えをするとか、生きてゆく方法は他にもあったのに少しも考えなかった。
メグミもそうだ。どこへ行っても自分は和菓子職人だという自負がある。
材料の確保のために動き出したそれからのテツジはすごかった。
――王都から出て、半日かけて港まで行って、そこで市場を回って探して、粉ひき屋を見つけたんだわ。
港には、海から渡ってきた変わったものもあるから、和菓子の材料もあるかもしれないと言って何度も足を運んでいた。
――乗合馬車で二日も三日も掛けて行ってた。農家も回って、米を探して。ワイン蔵の主にも会ってきたって言ってたなぁ……。そこで醤油を作ってはどうかって提案したんだわ。かろうじて食品庫に残っていた醤油を見本として持ち歩いた。重い荷物を担いで、あこちらへ行って……。父さん。
テツジは和菓子のことならなんでも知っていたし、異世界へ来ても作り続けるにはまず材料の確保が大事だとすぐに気が付いた。
『食品庫に貯蔵してある粉類や、カメに貯めてあるたれが尽きたら、それで終わりになっちまうな』と、夜中にぽつりと口にしていた。
他の職に就くとか、この世界にある西洋料理的な方面に鞍替えをするとか、生きてゆく方法は他にもあったのに少しも考えなかった。
メグミもそうだ。どこへ行っても自分は和菓子職人だという自負がある。
材料の確保のために動き出したそれからのテツジはすごかった。
――王都から出て、半日かけて港まで行って、そこで市場を回って探して、粉ひき屋を見つけたんだわ。
港には、海から渡ってきた変わったものもあるから、和菓子の材料もあるかもしれないと言って何度も足を運んでいた。
――乗合馬車で二日も三日も掛けて行ってた。農家も回って、米を探して。ワイン蔵の主にも会ってきたって言ってたなぁ……。そこで醤油を作ってはどうかって提案したんだわ。かろうじて食品庫に残っていた醤油を見本として持ち歩いた。重い荷物を担いで、あこちらへ行って……。父さん。