異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
次から次へと語ってしまった。

――お客さんには多くを語らないはずが……! コラン様は聞き上手なのかな。関心の度合いが大きいからかしら。自分の持っている知識を引きだされてゆく感じ。他の世界から来たって、いつか話してしまいそうだわ。

異世界のものだからこそ、和菓子は珍しくて、和菓子屋はこの大陸でここだけかもしれないと話してしまいそうだ。信じてもらえなければただの怪しい人になってしまう可能性も高いのに。

「材料を生かした使い方を習得すれば、使う量も増えて、材料を売る店も助かるというわけだ」

「私も助かりましたよ。結局、このヴェルム王国の国王様のお蔭です。みんなが商いの支店をこちらで出せたり、引っ越して来たりできたのは、新しい産業を起こすための種を持った者には補助金を出すという法を作られたからだそうです。すごいです」

「すごいのか。そうか。……ヴェルムの国王は、いま五代目になる黒獣王だ。知っているか?」

「代々受け継がれているっていう二つ名ですよね。大陸を席巻した国同士の戦争時代に大活躍をしたからそう呼ばれたのでしょう? 残虐だとか非道だとか。そういうのは二つ名のせいで、いまの国王様がなにかをしたなんて話は聞きませんから、ただのあだ名っていうだけかもしれませんね」

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