異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
異世界へトリップしたのはほんの三年前だった。たった三年前にこの世界を知り、歴史などはつい最近近所の人との会話からきた乏しい知識だけだった。先入観がないので、感じたままの感想になる。

目を細めてこちらをじっと見てくるコランは複雑な表情をしていたので、メグミはなにか間違ったことを言ったのかと内心慌てた。

黒獣王の名は諸国が怖れを抱くのでちょうど良いとばかりに代々引き継いだ。そして今は五代目だ。

引き継いだ王たちは、非道な面も継いだようだが、今の王は違うとも言われている。

――戦いが収束してきたいまは、別な方法で国を動かしていかなくちゃいけないわよね……。田畑が荒れ放題では、国の領土を広げても大した意味はないもんね。

シャッター街と言われた商店街を思い出す。この先、重要になるのは経済だろう。

そういう面からも“補助金”は悪くない。

「私ね。『新しい産業を起こすための種』に国掛かりで投資するのは、すごく良い手だと思うわ」

笑って言えば、コランは目線を地面へ向けてごほんと一つ咳をした。

――あれ? なにか変なこと言った?
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