異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
すると、後ろから肩をとんと軽く叩かれてぎょっとしたあまり、彼女は勢いよくぐるんっと振り返る。立っていたのはサユリだ。

「メグミったら、楽しそうねー。コラン様。みたらしが焼けましたよ」

からからと笑うサユリは、竹で作った皿の上に、たっぷりのタレに浸したみたらしだんごを二本載せて持っていた。メグミは、店の前だったのをようやく思い出して顔を上げる。すると。

すぐ近くに、店が開くのを待つ子供たちがいた。大人の姿もちらほらある。大人たちはコランとメグミのやり取りをずっと眺めていたようだ。そして笑っている。

「う……ぐぅ……」

頬を紅潮させたメグミは、なにかを言えるわけもなく思わず唸ってしまった。

たまにこうして言葉に詰まるのだ。自分は職人の卵で喋るよりは黙々と作っている方がよほど性に合う。

「唸るな」

合いの手のようにコランが言えば、その場はどっと笑いが巻き起こった。
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