異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
「タレだな。今日は食べてゆく。サユリさんは? 出かけているのか?」
「はい。大通りの店へ行っています。醤油の使い方などの実演調理をしてくる予定なので、もう少し時間がかかるでしょう」
ジリンはメグミたちがこの世界へ来たときからの常連だ。
食品庫の材料が不足してくるのが目に見えていたので、テツジが王都を出て探しているということも知っていた。メグミの代になっても来てもらえるのでほっとする。
お茶の用意をして、竹皿に載せたみたらしを持ってゆく。
「間に合ってよかったぞ。もう売り切れかと思った」
嬉しそうなジリンの様子に、前に立ったメグミも気持ちが浮き立った。
「美味いのう」
「お土産にできるほど残っていなくて、すみません」
「いやいや、気にするな。こうしてここで食べているのも、うちの奥方が『太り過ぎですから甘いものは控えてくださいっ』と怒るからなんだよ」
だから隠れて食べているのかと、呆れ半分、可笑しさ半分で、ぷはっと吹いてしまった。そういうメグミを目を細めて眺めたジリンは、自分の横をとんっと叩く。
「隣に座りなさい。話がある」
話の内容は以前にも聞いたことだろうと予想できたので、メグミは顔を曇らせる。
お茶のお替りを持ってきて、言われたように並んでベンチに座った。そうすると、暮れてゆく町を眺める位置になる。
あちらこちらで竈の煙が上がっているのを見て、ヴェルム王国がつい最近まで国同士の戦いに明け暮れしていたとは思えない穏やかな時間を得られたのだと実感する。
「はい。大通りの店へ行っています。醤油の使い方などの実演調理をしてくる予定なので、もう少し時間がかかるでしょう」
ジリンはメグミたちがこの世界へ来たときからの常連だ。
食品庫の材料が不足してくるのが目に見えていたので、テツジが王都を出て探しているということも知っていた。メグミの代になっても来てもらえるのでほっとする。
お茶の用意をして、竹皿に載せたみたらしを持ってゆく。
「間に合ってよかったぞ。もう売り切れかと思った」
嬉しそうなジリンの様子に、前に立ったメグミも気持ちが浮き立った。
「美味いのう」
「お土産にできるほど残っていなくて、すみません」
「いやいや、気にするな。こうしてここで食べているのも、うちの奥方が『太り過ぎですから甘いものは控えてくださいっ』と怒るからなんだよ」
だから隠れて食べているのかと、呆れ半分、可笑しさ半分で、ぷはっと吹いてしまった。そういうメグミを目を細めて眺めたジリンは、自分の横をとんっと叩く。
「隣に座りなさい。話がある」
話の内容は以前にも聞いたことだろうと予想できたので、メグミは顔を曇らせる。
お茶のお替りを持ってきて、言われたように並んでベンチに座った。そうすると、暮れてゆく町を眺める位置になる。
あちらこちらで竈の煙が上がっているのを見て、ヴェルム王国がつい最近まで国同士の戦いに明け暮れしていたとは思えない穏やかな時間を得られたのだと実感する。