異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
メグミは、ダイニングと寝室を抜けて庭へ出ると、井戸の様子を見て、三つに分けた畑の一つを確認する。畑の二つは休ませている。
個人の庭なのでさほど広いわけではないし、さらに分けて使っているので、はっきり言って狭い。それでも日当たりだけは素晴らしく良いから、小豆の栽培に適していた。
この国には小豆がなかった。考えてみれば、元の世界でも小豆の発祥地はアジア方面だったから、西洋ふうのこちらにはまだ伝わっていないだけかもしれない。あるいは、この世界にはまったく存在しないということだ。
ないから、あんこが作れない。
――でも、今度こそ。
食品庫に小豆の貯蔵分があった。テツジは小豆がないと理解した時点から、それを使って栽培を始めた。
二回失敗した。父親は結局実りを手にすることはできなかったのだ。
三度目はメグミが育てている。それまでの失敗から学んだことを生かして、二度と枯らさないよう、あるいは水をやり過ぎないようにする。あとは虫の駆除だ。
――今度失敗すると、ここの土を丸替えしない限り使えない。第一、発芽させる豆もなくなる。あんこのない和菓子屋になってしまうんだ。そんなのはいや。
くっと唇を噛んだ。こればかりは努力だけではどうしようもなかった。
個人の庭なのでさほど広いわけではないし、さらに分けて使っているので、はっきり言って狭い。それでも日当たりだけは素晴らしく良いから、小豆の栽培に適していた。
この国には小豆がなかった。考えてみれば、元の世界でも小豆の発祥地はアジア方面だったから、西洋ふうのこちらにはまだ伝わっていないだけかもしれない。あるいは、この世界にはまったく存在しないということだ。
ないから、あんこが作れない。
――でも、今度こそ。
食品庫に小豆の貯蔵分があった。テツジは小豆がないと理解した時点から、それを使って栽培を始めた。
二回失敗した。父親は結局実りを手にすることはできなかったのだ。
三度目はメグミが育てている。それまでの失敗から学んだことを生かして、二度と枯らさないよう、あるいは水をやり過ぎないようにする。あとは虫の駆除だ。
――今度失敗すると、ここの土を丸替えしない限り使えない。第一、発芽させる豆もなくなる。あんこのない和菓子屋になってしまうんだ。そんなのはいや。
くっと唇を噛んだ。こればかりは努力だけではどうしようもなかった。