異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
半年ほど前。テツジが急死して、サユリもメグミもふさぎ込んで店も開けていなかったときのこと。
「ここに“みたらし”っていう菓子があると聞いたんだが。知り合いが、うまいうまいと絶賛する。ものすごく食べてみたい。だめか?」
閉めてある木の戸をがんがん叩いて言ったのが、それだ。
サユリと一緒に寝込んで起き上がれなくなっていたとき、もう一度和菓子を作ろうと思わせてくれた人物がコランだった。
本人には少しもそういう意識はないだろうし、今となってはそのときの記憶もないと思うが、メグミには、この世界へ来て生活に追われていた中で、初めて自らの足で立ち上がって和菓子を作る気持ちが彼によって吹き上げた。
「和菓子という菓子なんだろう? そのうちの一つが“みたらし”なんだよな? どういう味なんだ」
「ここに“みたらし”っていう菓子があると聞いたんだが。知り合いが、うまいうまいと絶賛する。ものすごく食べてみたい。だめか?」
閉めてある木の戸をがんがん叩いて言ったのが、それだ。
サユリと一緒に寝込んで起き上がれなくなっていたとき、もう一度和菓子を作ろうと思わせてくれた人物がコランだった。
本人には少しもそういう意識はないだろうし、今となってはそのときの記憶もないと思うが、メグミには、この世界へ来て生活に追われていた中で、初めて自らの足で立ち上がって和菓子を作る気持ちが彼によって吹き上げた。
「和菓子という菓子なんだろう? そのうちの一つが“みたらし”なんだよな? どういう味なんだ」