異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
テツシバに背を向けたメグミは、決然とした足取りで馬車屋へ戻り、店の前に立って待っていたエディに頭を下げた。

「よろしくお願いします」

「相変わらず、礼儀がしっかりしているな。では、行くか」

彼が店の裏のから引いてきたのは、なんの印もない馬車だった。辻馬車仕様とでもいうのか。

それに乗れと言われて、メグミは御者台の隣に座ってはいけないかと尋ねる。エディは驚いた顔をした。

「どうして? 今は季節がいいから外に乗ると気持ちが良いのはたしかだけどね」

「場所とか道順を知っておきたいし、貴族の方々の居住地は行ったことがないから見たいわ。でも、エディさんが困るなら中に乗るけど」

中心を走る大通りの向こうは、地位が高い者や資産家たちの住まう場所だ。様々なイベントを行う集会場とか、公共の建物もあるらしい。

「場所や道順ね。いいよ。僕の隣に座って」

メグミが横に座るとエディは馬を操り、誰も乗っていない空の馬車が動き出す。

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