異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
「メグミちゃんは、ジリン様のことを何か知っている?」
「公爵様だってことくらいかしら。ほかは、えーっと、奥様に甘い物の食べすぎを注意されているとか、だけどジリン様は隠れて食べてしまうとか」
あっはっは……とエディはまた笑った。
「その通りだけど、ジリン様はそれだけじゃない。あの方は黒獣王の左の手なんだ。つまりは、宰相のひとりということだよ。ちなみに右の手はグレン公爵という方だ」
「えぇっ。公爵様という身分の高さだけじゃなくて、黒獣王の左の手! 政治的にもそんなに地位が高かったなんて。そういうふうには見えなかったわ。……それにしても、エディさんはよく知っているわね」
「そうかな。巷の噂をつなぎ合わせただけさ」
彼は、今度はくすくすと笑う。
メグミは隣に座って馬の手綱を操るエディの横顔をじっと眺める。整った顔をして、薄いブロンドを靡かせる貌は相当整ったものだ。印象が薄く記憶に残りにくいのが不思議なくらいだった。
ある考えがふっと脳裏を過る。
――あの馬車屋からは、テツシバがよく見えるわね。だんごを焼いているところも見えるし、出たり入ったりする人も……。あれ?
だからどう、ということはないが奇妙に引っかかった。
「公爵様だってことくらいかしら。ほかは、えーっと、奥様に甘い物の食べすぎを注意されているとか、だけどジリン様は隠れて食べてしまうとか」
あっはっは……とエディはまた笑った。
「その通りだけど、ジリン様はそれだけじゃない。あの方は黒獣王の左の手なんだ。つまりは、宰相のひとりということだよ。ちなみに右の手はグレン公爵という方だ」
「えぇっ。公爵様という身分の高さだけじゃなくて、黒獣王の左の手! 政治的にもそんなに地位が高かったなんて。そういうふうには見えなかったわ。……それにしても、エディさんはよく知っているわね」
「そうかな。巷の噂をつなぎ合わせただけさ」
彼は、今度はくすくすと笑う。
メグミは隣に座って馬の手綱を操るエディの横顔をじっと眺める。整った顔をして、薄いブロンドを靡かせる貌は相当整ったものだ。印象が薄く記憶に残りにくいのが不思議なくらいだった。
ある考えがふっと脳裏を過る。
――あの馬車屋からは、テツシバがよく見えるわね。だんごを焼いているところも見えるし、出たり入ったりする人も……。あれ?
だからどう、ということはないが奇妙に引っかかった。