異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
「そうです。報酬を求めて来ました。ですが、私にできるのは和菓子を作ることです。それ以外は無理です」

「いやはや、見事なほど明快だ。その表情やまなざしは菓子を作るときのメグミだね。それでいいよ。私はお前を戦場に送るつもりだからね」

「戦場?」

「王城という戦場だ。さて、私の頼みを話そう。貴族の者たちに和菓子をふるまうということだったが、本当のところは、お前の菓子を黒獣王に出してほしいのだよ。これは極秘なのだが、黒獣王はお菓子が大好きなのだ」

驚きですぐには声が出ない。このヴェルム王国の国王陛下に和菓子を出せと言われたのかと、後から頭がついてくる。

――黒獣王? 残酷で冷酷で……というふたつ名に付随した噂があるけど、水路を作ったり、道を整備したり、補助金とか……の民を思っている国王のことだよね。
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