異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
サユリをベッドに寝かせて移動の準備を始める。道具類は忘れないようにと最初に纏めて布で包んだ。荷物が増えてしまうのは、こちらではすぐに手に入らない道具もあるからだ。

自分たちの服などは少量なのでたいした荷物にはならない。

問題は、庭の小豆だった。メグミが庭に出て確かめれば、茶色になっている鞘と、まだ緑のものが半々ほどだ。茶色になってからひとつひとつ収穫したいから、この件でもあとからまた足を運ぶ必要がありそうだ。

ひとつの種から株ができて、そこから雑草のように枝が別れる。

――たくさんできている。よかった。

乾燥させるときにも虫がつくので、十分気をつけねばならない。乾燥のために、ここで広げておくよりも、屋敷の方で常に注意を向けた方が確実だろう。まずは、できている分は持っていくことにする。

――最初の一袋。

五キロほど入る麻の袋を作っておいたので、そこに詰めた。ざざざとベッドの上で広げて感触を楽しんでから、サユリと一緒に笑い合ってまた回収した。

「哲二さんにいい土産話ができたわ」

「母さんっ。不吉でしょ。健康が戻ってから言ってよ」

つい、強めに言ってしまった。サユリは、ふふふ……と笑ったが、ひどく儚い感じだったのでメグミは不安が込み上げて仕方がない。
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