異世界にトリップしたら、黒獣王の専属菓子職人になりました
ひと通り用意ができたところでエディが迎えに来た。屋敷まで馬車で運んでくれることになっている。
「荷物も一緒に乗せるしかないよね。サユリさんは馬車の中で座って、メグミちゃんは朝と同じで僕の隣かな」
「お願いします」
サユリには荷物を持たせない。ただ、棚にある位牌だけは、サユリが布に包んで腕に抱いて馬車に乗った。メグミは胸が締め付けられるようにしてそれを目の端で捉えていた。
――父さんの店だものね。ここを出るのは母さんにとって身を切られるような思いなんだろうな。
それでもメグミの説得に応じたのは、まだまだ自分は元気でいなくてはいけないから薬を必要としている、と同時に、メグミの和菓子職人としての気概を妨げたくないからだろう。
――いつか戻るからね、父さん。
最後に店の戸の鍵を閉め、今度は『しばらく休業します』という張り紙を出した。隣の家の奥さんにはサユリの療養と伝えてあるし、噂としてすぐに広まるだろうから理由は書かない。
馬車は動きだし、サユリとメグミはジリン公爵の屋敷へ移った。
「荷物も一緒に乗せるしかないよね。サユリさんは馬車の中で座って、メグミちゃんは朝と同じで僕の隣かな」
「お願いします」
サユリには荷物を持たせない。ただ、棚にある位牌だけは、サユリが布に包んで腕に抱いて馬車に乗った。メグミは胸が締め付けられるようにしてそれを目の端で捉えていた。
――父さんの店だものね。ここを出るのは母さんにとって身を切られるような思いなんだろうな。
それでもメグミの説得に応じたのは、まだまだ自分は元気でいなくてはいけないから薬を必要としている、と同時に、メグミの和菓子職人としての気概を妨げたくないからだろう。
――いつか戻るからね、父さん。
最後に店の戸の鍵を閉め、今度は『しばらく休業します』という張り紙を出した。隣の家の奥さんにはサユリの療養と伝えてあるし、噂としてすぐに広まるだろうから理由は書かない。
馬車は動きだし、サユリとメグミはジリン公爵の屋敷へ移った。