消えないで、媚薬。
「あのキスが……忘れられないんだ……」
え…?
その理由を聞かせてもくれない。
強引に重なった唇。
抵抗する手も抑えられて、
ゆっくり口内を犯していく彼に応えちゃいけないのは百も承知なのに……
彼が忘れられないと言ったキスをしてしまってる。
分かっていながら与えてる。
どうしちゃったの?私………
触れてしまったら許してる。
こんなにガード弱くてどうすんのよ……
「俺、香帆さんのキス好き……」
私も……好きだ………
どうしよう……
力入らない……
「もう1回……」
私だってまだ欲しい……
おねだりキスに抵抗なく応えてる。
ダメだ……腑抜けになりそう。
このままじゃ引きずり込まれる……
グッと身体がくっついてさっきより激しい。
やっぱり歯止めをかけなきゃ…!
力を振り絞り彼の身体を押し上げる。
「石川くんっ…!ダメ……」
「え、石川くん?違うでしょ?ちゃんと呼んでくれるまで止めない」
「え…?」
油断したすきに再び唇を奪われる。
更に…更に…激しくなって……
両手でTシャツ掴んでるのに……
もう持ち上げられない……
本当は……こうしたい……
Tシャツを掴んでる手は徐々に彼の首に回る。
抵抗じゃなく……受け入れた。
離れたくなくて……自ら求めたの。
吐息も荒くなってきて見つめ合う。
「ダメだよ……慶太。これ以上はダメ…」
そう言っても手遅れで
「狡いよ香帆さん…無理だよ、止まらない」と暴走させてしまう。
Tシャツを脱ぎ捨て露わになった裸体。
あぁ、そうか。
このままこの腕に、
この逞しい身体に、
この瞳に、この唇に……
とうとう抱かれてしまうんだな。