消えないで、媚薬。
「香帆さんとのキス…出来ないのは絶対嫌だ」
どストレート過ぎるよソレ……
何の恥じらいもない……
まるでお菓子をねだる子供のよう。
真っすぐ過ぎてちょっと手に負えない。
でも逸らせない視線が私の手を動かしてしまう。
髪をなでてしまった。
「何でキミが泣くの…」
「香帆さん泣かしちゃったから…」
これは……恥ずかしくて言えないけど、妄想して感動した涙…?
抱かれるかもと想像して嬉しかったのかな…?
あのキスの後でどう防げは良いのかなんて考えつかなかった。
ヤバイのは私の方。
ちっとも嫌じゃなかったから。
「ごめん、あれは……その、不意に出たものと言うか……びっくりはしたけどね」
「良いって言われるまでちゃんと我慢するから、キスだけは……していいですか……?」
だけは……ってマジなの!?
そんなに固執するところ!?
だからすがる瞳やめてってば。
でも逸らせないっ……
「香帆さんとのキスがあれば何でも頑張れちゃうから」
大袈裟過ぎるでしょ。
降ろした手に再び触れてきた。
「香帆さんが嫌じゃなければ毎日でもキスしに来ていい?それ以上は求めないから」
「え……毎日はちょっと……」
って、私もそういう問題じゃない。
ちゃんと断らなきゃいけないのに口が勝手に滑る。
「じゃあ会える時だけ……キスしたい。ていうか……もうしたい」
「え…?」
触れてる手を引き寄せられた。
またあの熱を帯びた瞳……
親指で唇をなぞられる。
「これだけは…俺から奪わないで?」
抵抗出来ない訳じゃない……
わざと抵抗しなかった。