消えないで、媚薬。




身体は求めてた……?




断片的に記憶が戻ったり途切れたり……
彼の吐息や声を覚えているようなそうじゃないような……
少しだけ覚えてるのは、
彼を見下ろしていたこと。
きっと私……上に乗ってた……?




ブンブン首を振って記憶を掻き消す。
んな訳ない。
私、自分からそんなことしないもん。
ずっとノーマル…だもん。
って、何の話よ。





とにかく、忘れよう!
昨日の夜は何もなかった。
ヤッてないヤッてない!
合コンにも行ってない!




だって私はとっても爽やかな………




「サナちゃん、ユウタくん、おはようございます!」




迎えのバス停にて笑顔で挨拶。
「では行ってきまーす!」と保護者にも挨拶。
「カホ先生おはよう〜」と可愛らしい笑顔にほっこりする。




「次はリュウノスケくん乗ってくるよ〜」
「マナのとなりあいてる〜」
「じゃあマナちゃんの隣乗ってもらおうね」
「はーい」




ね?
どこからどう見ても完璧な幼稚園の先生なのよ。
私生活はさらけ出さない、謎のベールに包まれたまま。
皆の先生なの。
いつでも笑顔のカホ先生なんだよ。




「オレがおおきくなったらカホをおヨメさんにしてあげるぜ」
最近はマセた子が多いけど、入園した頃の初々しかった姿を覚えているだけに成長してるんだなぁ〜と思えば自然と笑顔になる。




「マサキくん、カホ先生だからね?」と優しく注意したらあっかんべーってするから追いかけ回す。
そしたら他の子たちも混ざって来て大人数で追いかけっこするハメに。
子どもたちは毎日元気いっぱい。




大変なことも色々あるけど子どもたちに学ばせてもらってる。
だから私はこの仕事が好きだ。
誇りに思ってるしもっと極めたいって思う。






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