消えないで、媚薬。
こんな時に見惚れてる場合じゃない…!
しっかりしろ!私!
長い睫毛に黒い髪。
血色の良い艷やかな唇。
お願い。
記憶がないのでこれにてお暇しますが、どうか起きないでください。
音を立てないよう服を着る。
ふと最後、ベットのヘッド部分に備えつけてあるモノが目に入り凍りつく。
完全に……クロじゃん。
ゴムが入ってた袋が破れてる。
やっぱりヤったんだ私たち。
そそくさと立ち去る。
慌てて精算して外に出たのは明け方の4時過ぎだった。
__大丈夫だった〜?昨日の香帆、凄い大胆だったよ?合コンメンバーじゃない人お持ち帰りしちゃうんだもん、びっくりよ!
私が一番びっくりしてるよ!
正気に戻った私は朝一番にさとみに連絡した。
店の外に出てからの行動を一部始終聞いて更に血の気が引いていく。
__で〜?お持ち帰りしてどうなったの?聞かせろ〜!
__ごめん……全く記憶がなくて……
__ギャハハ!相当飲んだもんね?起きたらホテルだったとかありきたりな展開!?
__笑い事じゃないよ…!本当に覚えてないから怖いんだって…!
__彼に聞いた?うわ、そのまま出て来ちゃったんだ?じゃあ連絡先とか交換はしてないんだよね?あっ!ちゃんと避妊した?よし、なら大丈夫じゃない?
あっけらかんとし過ぎてて力が抜ける。
忘れちゃえ〜!って完全に他人事。
そんなさとみは昨日のメンバーの一人とデート行くまでこぎつけたらしい。
お酒飲んだだけであんな自分が豹変してしまうなんてさすがに控えようと心に誓う。
仕事に没頭してた分、反動が大き過ぎたのか。
無意識に誰かを欲してしまってたのかな。