消えないで、媚薬。
「カホ先生さようなら〜」
「ツバサくんさようなら〜」
元気に手を振ったら保護者に
「今日ツバサくんお弁当残さず食べれたので後で褒めてあげてください」とご報告。
空っぽになった弁当箱見せてあげてね〜。
バス停の最終見送りが済み、園に戻る。
チラチラと目が合うバスの運転手さん。
この前告白されて断ったから何か気まずい。
信号待ちに差し掛かった時。
あまりにも視線を感じるから窓の外を眺めた。
「あの、この前のことなんですけど…」ってキター!
恐る恐る「はい…」と目を合わせる。
そんな私に苦笑しながら
「気にしないでくださいね?いつも通りのカホ先生で居てください」と言われた。
ヤバ、完全に顔や態度に出てた模様。
「ていうか、意識してくれてたんならそれはそれで嬉しいですけど」って言葉に赤面する。
入社した当初から色々と気にかけてくださり、優しい言葉で励ましてくれたりしてたから突然の告白に正直戸惑って受け入れられなかった。
「河本さんのこと…そういう目で見れないです」って気付いたら言っちゃってた。
余計傷つけたかな?
だから気まずい。
でも今は笑って話しかけてくれてる。
申し訳ない気持ちも
「気にするな」と言われてるみたいでさすが大人な対応。
そんなバスの運転手さんは私より10歳上の34歳、バツイチ…らしい。
爽やかなスマイルで年配の方や一部の保護者からは相当な人気っぷりだけど。
園に着いた後も変わらぬ態度で接してくれて変に意識していたのがバカみたい。
帰り際、他の先生たちと一緒に出ながら先輩保育士のカナエ先生から「カホ先生は河本さんのことどう思ってる?」と聞かれ固まる。