消えないで、媚薬。
「えっと……優しいバスの運転手さん…?ですかね」
「アハハ…!そりゃそうだけども」
それ以外どう言えっての!?
しかもこのタイミングで聞かないで〜。
「ていうかそろそろ気付かない?彼、きっとカホ先生のこと好きだよ」
「ま、まさか〜」
「いやいや絶対…!見てる目が他の人と違うもん」
「やめてくださいよ〜明日から一緒に仕事出来ないじゃないですか…」
「あぁ、明日も降園バス一緒か〜?」ってわざと言ってますよね?
そんなことよりもうすでにお断りしてますから。
ヘタにハニートラップ仕掛けないでください。
「今は彼氏居ないんでしょ?歳上も良いかもね?恋愛は出来るうちにたくさんしなよ〜アフター5はオンナに戻らないと」ってカナエ先生は歳下の商社マン彼氏が居るそう。
「じゃあ、お疲れ様です」
「また明日〜お疲れ様〜」
皆は電車やバス通勤だけど私はバイク。
長年乗ってるボロいスクーターだけどね。
専用駐車場に入ろうとした瞬間だった。
「カホ…さん?」
突然現れた謎の男の子。
何で私の名前知ってる…?
知り合いにこんな子居たっけ?
短めの黒い髪に整った顔。
鼻筋も通ってて艷やかな唇。
見た目は100%のイケメンだ。
でも、誰…!?
「やっぱ覚えてないんだ……」
「えっと、どちら様でしたっけ?すみません…」
紺色のブレザーにグレーの格子ズボン、緩めのネクタイと肩から掛けたバックって………完全に学生だよね?
中学生にしては大人っぽいからきっと高校生。
卒園生だとしたら完全に私は居ないから違う。