消えないで、媚薬。




「お父さんか!」




「ハハハ、そこ重要だろ?高野は女なんだから」




「ま、まぁ……」




いきなり女の子扱いするな〜!
からかったり急に優しくなったり。
ほら、今も真っすぐ見つめて髪を撫でてくる。




「昔みたいに…何かあったら言えよ?」




「え…?」




「仕事の愚痴でも何でもいいから誰かに話したくなったら真っ先に俺を頼ってほしい…」




「うん……」




あ……何となくだけど分かる。
時田くん、私の唇見てるから。
きっとまたキスされちゃうのかな。




「高野……俺………」




どう言えば傷付かずに済むかなんて正しい答えなどあるはずないのに考えてるフリ。
キスされないように俯くしか出来なかった。





「香帆?」




えっ…!?この声…!?
横から聞こえてきた方向に顔を上げる。
思わず名前を呼びそうになったけど「石川…くん」と名字を口にしてしまった。
慶太……どうして?
連絡しないで来るなんて……
制服では絶対に来ないから良かったけど。




ん……?
今、香帆って呼び捨てにしたよね?





「え?高野、知り合い?」




「えっと、うん……その、」




二人にそれぞれどう説明すればいいのか頭が混乱する。
そしたら真っ先に慶太はグイッと私の腕を引っ張り時田くんから離れさせた。




「ていうかあなたこそ誰ですか?」って喧嘩腰だから慌てて紹介する。




「彼は時田くん。高校の同級生だよ。久しぶりにご飯食べに行ってたの。で、彼は石川くん……」




うぅ……高校生だなんて言えないよぉ〜!




「俺っすか?彼氏です」




はっ!?本人から!?
言った!!言ってのけた!!
うわ、絶対怒ってる。
何か勘違いして名乗り出ちゃってるんだよね?




「え…?高野、彼氏居たんだ?ごめん…好きな人って彼氏のことだったんだ?」




< 62 / 94 >

この作品をシェア

pagetop