消えないで、媚薬。
「なっ、失礼な!ったく……」
「あ、割り勘しよ」
「いーよ、誘ったのこっちだし大人しくゴチられとけよ」
「え、悪いよ……あ、じゃあデザートでシュークリーム奢らせてよ!好きだったでしょ?」
ジッとこっちを見たまま動かないから「なに?」と言ったら「そんなことまで覚えられてたらどうやって好きを諦めろって言うんだよ」って知るかー!
仕方ないでしょ、覚えてるんだから。
和食屋さんを出て少し歩いたらテイクアウト専門のシュークリーム屋さんがある。
立ち寄って時田くん用と自分用を買う。
「高野も2個食いかよ」
「ち、違っ…!」
これは……来るか分かんないけど慶太と食べれたらなって。
時田くんには絶対言わないけど。
「大丈夫、高野ならもう少し太ってもいいくらいだよ」
「あのね、1キロ太っただけで子ども達と追いかけっこかなりキツイんだからね?」
「そうかぁ?でも2個買ってんじゃん」
そうだよ!だからこれは慶太用!
来なかったら……私が食べるけども。
「ここのシュークリーム美味しいから…」
「まだ全然痩せてるから前みたいに軽々と抱き寄せれちゃうけど?」
並んで歩きながら腰に手を回して引き寄せてくる。
「あのねぇ…!調子に乗るな…!」
「わ〜!ウソウソ!」
怒るフリしたらヒョイと交わされてお互い笑い合う。
こういうの懐かしい。
まるで学生時代に戻った気分。
当時メガネをかけてた真面目くんは今じゃメガネを外したイケメンに大変身…だもんね。
「ありがとう、家まで送ってもらって」
良かった、マンション前に慶太は居ない。
連絡もなかったし今日は来ない日だ。
「ちゃんとオートロックだな?安心、安心」