消えないで、媚薬。
慌て過ぎだし。
しかも今日は会えないんだよね?
私も安静にしてなきゃだし?
明日から仕事頑張んなきゃだし〜!
いかんいかん、カホ先生の顔にならなきゃ!
360度恥のない保育士になるのよ!
「おはようございま〜す!」
笑顔で元気よくバスから降りて挨拶をする。
休み明けに行きたくないと駄々をこねる園児は少なくない。
だから先生に会えて少しでも安心したり、幼稚園って楽しい場所なんだって思ってもらえるように最善を尽くすのも役目だと思ってる。
ずっとママに抱っこされてる年少さんも顔を見れば手を伸ばしてくれるからそのまま抱っこで引き受ける。
「今朝37度あったんですけど…」と保護者に言われ、少し元気ないかなと見受けられるが「月曜はカホ先生がバスだから行くって聞かなくて…」なんて言われたら保育士冥利に尽きますよ本当。
「ちょっと注意して見ておきますね」と出発する。
担任にも伝え、空いた時間に私も年少クラスを見て回った。
ちょうど給食時間が過ぎた時。
半分以上残したと連絡を受け今朝の子が居る年少クラスを再び訪れる。
やっぱりしんどそう。
額に手を当てると少し熱い。
「お熱計ろっか?立てる?」と聞いたら首を横に振る。
「おなかイタイ…」
「トイレかな?」
「ちがう……」
「先生が抱っこするから先にお熱計ろう?おトイレ行きたくなったら言ってね?」
コクリと頷いてくれたから担任に声をかけ抱っこして教室を出た途端、ゲロゲロゲロ〜と着ていたジャージの上に嘔吐されてしまった。
慌てて降ろす。
「そっか、ごめんね?お腹イタイって気持ち悪いってことだったんだね?まだお口から出そうかな?」