お前にはかなわない


それからというもの陽向は毎日お見舞いに来てくれた。

でもそれとは裏腹に俺の病状は悪くなる一方で、今の俺にはどうやら心臓移植が必要らしい。

なんで俺なんだよって、なんで俺ばっかりって何度も心の底からそう思った。

陽向はそんな俺の想いを汲み取ってか一緒になって泣いてくれた。

そんなある日。

今日も学校終わりに陽向が来てくれて、学校での事をたくさん聞かせてくれた。

でもその時俺は陽向が楽しそうに話す姿に苛立ちを覚えた。

「良かったじゃん、陽向は楽しそうで」

なんて嫌味を口にした俺に

「千宙もきっとすぐ良くなるから!」

なんて言ってきた。

「すぐっていつだよ!いつになったら治るんだよ!なんで俺なんだよ!」

俺は心に溜め込んでた思いを陽向にぶつけてしまった。

陽向は言葉をなくして、泣きながら病室を出てった。

ああ最低だ。

後悔ばかりがつのる。

陽向につられてか俺の頬にも涙がこぼれていた。

明日陽向が来たら俺からいちばんに謝るんだと心に決めて眠りについた。
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