お前にはかなわない

「あたし梨夏。山崎梨夏。よろしく。」と手を差し出した。

「ああ。橘千宙。」

それだけ伝え差し出された手に応じることはしなかった。

すると梨夏は「うわっ。冷た〜。」なんて茶化してくるもんだから

「うるせぇな」と一言だけ放った。

「さっき一緒に歩いてたの彼女!?」梨夏が興味津々に聞いてきた。

出会って間もない人に突拍子もない事を聞かれたもんだから、飲んでいたお茶を吹き出した。

「バカっちげぇよ!!」俺の慌てように勘づいたのか、

「あ、分かった!片思いだ!いいな〜青春!!!」

とか何とか言ってきた梨夏に

「ただの幼馴染だよ!!」と返した。
< 8 / 36 >

この作品をシェア

pagetop