お前にはかなわない
「あたし梨夏。山崎梨夏。よろしく。」と手を差し出した。
「ああ。橘千宙。」
それだけ伝え差し出された手に応じることはしなかった。
すると梨夏は「うわっ。冷た〜。」なんて茶化してくるもんだから
「うるせぇな」と一言だけ放った。
「さっき一緒に歩いてたの彼女!?」梨夏が興味津々に聞いてきた。
出会って間もない人に突拍子もない事を聞かれたもんだから、飲んでいたお茶を吹き出した。
「バカっちげぇよ!!」俺の慌てように勘づいたのか、
「あ、分かった!片思いだ!いいな〜青春!!!」
とか何とか言ってきた梨夏に
「ただの幼馴染だよ!!」と返した。