ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
『はぁ・・で、ご用件、なんでしたっけ?』
私は昼休みの出来事がバレてないうちに話題を逸らそうと前田先生に声をかけた。
「そうそう、用件は・・・」
その前田先生はというと
何かを思い出したかのように目を大きく見開きながら右手で左手をポンッと叩く。
なんだろう・・・?
なんか今日の前田先生はいつもと違ってテンションが高めな感じがするし・・
「あっ、昨日の・・・そうそう昨日、お願いした患者さんの西川さん!!!!ついさっき、廊下で西川さんにバッタリ会って、“高梨先生に親身になって話を聞いて貰えて、楽になった気がします”って嬉しそうにお話してくれました~。いや~ボクもホッとしました。今まで何をやっても上手くいくような気がしなかったので!いや~とりあえずよかったよかった!!!!」
そう言いながらニコニコ顔で大きく2回頷いた前田先生。
どうやら彼も嬉しかったらしい。
彼のテンションがここまで高くなった原因はどうやら昨日から今日にかけて起こった出来事によるものと思われた。
その出来事があった昨日から今日はというと
昨日、私は前田先生から心理評価依頼を受けた
その対象患者さんは・・・西川さんという40才代前半の女性入院患者さん
頭痛や眩暈、カラダのだるさを訴え、色々な精密検査を行ったが身体状況に特に問題となる所見がなかった彼女
前田先生は彼女の今後の治療をどうするか頭を悩ませていたらしい。
そんな中、前田先生は彼の指導医から“心理評価を行ってみたら”とアドバイスを受け、私のところに評価依頼をしてきた
そして私が今日の午前中にその患者さんの心理評価を行い、現在に至る
『そうですか、よかったです♪』
ただ、私は心理評価を行っただけ。
それなのに患者さんが“楽になった”とおっしゃって下さったのは、自分が臨床心理士として微力ながらも役に立てたのかなと思うと私もやっぱり嬉しかった。
「ボクも助かりました~また、お願いしますね♪あっ!!!」
『どうされました?』
「あっ、そうそう、よかったらコレ・・・」
相変わらずテンションが高めな前田先生は右手を白衣の右ポケットに突っ込んだ。
その瞬間、なぜか彼の表情が強張ったように見えた。