ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
誰か病院の金を横領したとか、か?
はぁ
“かったるい”な
やっぱ帰ろうか
その前に伶菜に電話だ
『美咲、俺、帰るから。お前はどうする?』
「とりあえず、どういう用件で召集がかかったのか、聞いてから病棟に戻ります。」
何事に対しても真面目に取り組む美咲らしい
以前はその真面目すぎる性格によって悩みが絶えない様子だった美咲。
それでも彼女は我慢強くコツコツ取り組むことで実績を積み、今では俺も彼女に自分の患者さんを預けられるくらい成長した
『じゃ、明日にでも、コレはなんの集まりだったか教えてくれる?』
「わかりました。」
ニッコリと微笑みながらそう言った美咲に対し俺は軽く頷きながら、会議室のドアをそっと開けようとした。
その時、
「今日、皆さんにお集まり頂いたのは、経営状況の報告とかではなく・・・」
ザワついていた会議室の話し声が一気に小さくなり
「皆さんに早急にお伺いしたいコトがあります。」
更に引き締まった江草さんの声で会場内はあっという間に静まり返った。
金のコトじゃない?
じゃあ、なんなんだ?
そう首を傾げた瞬間、俺はなんだか不穏な気配を感じた。
そして家に帰ろうとしていたはずの俺は即座に振り返り、江草さんのほうをじっと見た。
「病院の薬剤庫に厳重保管されていた塩酸モルヒネ注射液が大量紛失しました。」
塩酸モルヒネ
しかも注射液か・・・