ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活


それでまず俺らが疑われたってワケか
薬剤を取り扱うスタッフである俺らが・・・



「まずは内部調査から始めたいと思います。どんな小さなコトでも構いませんので皆さんから情報を提供して頂きたいと思います。個別にお話を伺う予定でいますので、今からお配りする書類に書かれた日程のうち、ご都合があう日時を選んでこの箱に提出して下さい。」

その声を合図に、監査室の若手スタッフらしい男性達が慌しく紙を配り始めた。
その時、会議室内が再びザワついた。

しかし、それを制止したのは

「尚、内部調査を行った上で、院内紛失でない場合は院外にも公表し、警察関係にも調査依頼します。しかし、院外公表調査は病院の評判にも直結しますので、その前に院内で慎重に調査を行います。それにあたっては、皆さんの倫理感に頼るところが大きいです。その上をご理解して頂き、今回の調査にご協力下さい。ご不明な点はPHS1214の江草までご連絡下さい。以上。」

毅然とした態度で、調査協力を訴えた江草さんだった。




「日詠先生・・・・塩酸モルヒネって癌患者さんの強い痛みを和らげる緩和ケアの時に使われるんですけど、麻薬扱いですよね?・・・確か、取り扱いを間違えると多幸感や幻覚、妄想とか精神症状も出るはずじゃ・・・」

『ああ』

「それが大量に紛失したというコトは・・・」

『マズイ、よな。』


いつもの俺ならそういう事件が起きても、どこか他人事のような感覚を抱く
でもこの時は
自分は関与なんかしていないのに変な胸騒ぎがした。


それでもこの招集が救急患者の大量搬送などの緊急事態でないことがわかった俺は

『じゃ、俺、帰る。お疲れ。』

「お疲れ様でした!」


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