ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
「レイナの腕、気安く掴んだりしやがって!!!!! 何してんだよ!!!!!」
「森村先生・・・・ですよね?整形外科の。」
「そうだよ!!!・・・っていうかなんなんだ、アンタ・・・」
「監査室の江草です。」
「名前なんかどうでもいい!!!! とりあえずその手ぇ、放せ!!!!!」
完全にケンカ越しな態度の森村先生。
そんな彼に向き合っても顔色ひとつ変えない江草さん・・・・まるで、百貨店紳士服売り場のマネキンみたい
「彼女はモルヒネとかやってねーって!!!彼女の左手のキズは随分前に俺が手術した!!!なんならオペ記録も残ってる。手首のキズももうその頃にはあった。彼女はちゃんと立ち直ってる。だから、そんなマネまでして彼女を疑うんじゃね~!!!!!!」
「そうですか。」
「わかったら早くこんな陰気臭いトコから出してやれって!!!! アンタの陰気臭いのまで伝染ってしまうだろーが。」
「・・・・・そうですね。じゃあ、もういいですよ。高梨さん。」
陰気臭いなんて失礼な言葉を浴びせられたにも関わらず、眉間に皺すら寄せずにサラリと応対した江草さん。
「それと・・・・森村先生。」
「なんだよ!!! まだ何かあるのかよ?」
明らかにイライラしている森村先生。
いつものチャラ男系な雰囲気は微塵も感じられなくて。
「その格好、もう少しなんとかなりませんか?アナタはこれからのこの病院を背負っていく人材なんですから。」
「オレにはそんなの関係ねーよ・・・レイナ、行くぞ。」
『えっ・・・?』
監査室の江草さんに容姿を注意されているのに、どこ吹く風の如く、私の腕を引きあげながら私を椅子から立たせた森村先生。
「それと・・・・」
それなのに、森村先生に関係ないとバッサリ斬られたはずの江草さんなのにまだ何かを言いかけた。
「まだ、なにかあるのかよ?」
面倒臭そうにそう呟いた森村先生に対しニヤリと背筋が凍りそうな笑みを浮かべた江草さんは
「彼女、高梨さんとあまり関わらないほうがいいですよ。リストカットとかワケありそうですしね。アナタの出世とかにも響くのでは?」
冷静な口調で森村先生にそう語りかけた。