お前は、俺のもの。
──しゅ、修羅場…?
コンビニはもう少し後にしよう、と踵を返そうとした。
「私、一ノ瀬課長が好きなんです」
「好き」を強めに言ったその言葉に、踏み出す足が止まる。
二人の姿はここからは見えないが、鬼課長はどんな顔をしているのか気になる自分がいた。
「本当はこの気持ちは言うつもりはなかったんです。課長に告白をして玉砕していく女の子たちを何人も見てきましたから。その中で自分の気持ちを伝えない代わりに、側にいて課長のサポートをすることで優越感に浸っていました。婚約者の彼女より私の方が一緒にいる時間が長いんだ、課長の一番近くにいる女は私なんだって満足していたんです。でも、課長があの人に近づいて行ったから、あの人ばかり見てるから…っ」
涙声に変わっていく小堺るみの気持ちは、理解できない訳ではない。彼女も鬼課長を巡る恋の争奪戦に必死だったんだ。
ちょっとイタダケナイやり方ではあったが。
「お願いです。私、課長に全てを捧げて尽くしますから。私だけを見てくださいっ!」
ははあああぁぁぁ…。
ここまで聞こえるくらいの大きなため息に、何の関係もない私の肩はブルッと震える。