お前は、俺のもの。
逆三角形の目を吊り上げて、私を睨んでいる。超不機嫌の彼に、私の足はすっかり怯えてしまった。
鬼が歩いてくる。頭から突き出た二本の角がハッキリ見える。
──ひえぇぇっ。
「あ、あの」
ここは謝ろうとしたが、それより早く鬼に腕を掴まれ、大股で歩き出した。転びそうになりながらも、小走りになって彼に引きずられる。
連れて来られたのは、同じ階の今は使われていない備品保管庫だった。掃除道具が置かれているだけの、何もない部屋だ。
ドンッ。
壁に叩きつけられるように背中が押し付けられ、両肩がガッチリと大きな手で握られる。
ドアの上部の明り取りの窓から廊下の明るさが少し入るだけの、薄暗い空間の中で、彼は私の目線に合わせた。
「どこに、行っていた」
「あの、コンビニに。電話出なくて、すみませんでした」
「凪、俺と二人の時は?」
──俺と二人の時は、タメ口で。
前に言われたことを思い出す。
しかし、それどこれではない。
今にも睨み殺されそうな目をしている相手に、とてもタメ口なんて使えない。