お前は、俺のもの。

終業時間まで、鬼課長からマンションのモデルルームのイノベーションの話を聞くことになったが、私は驚くばかりだった。
「え?既に内装工事が始まってるんですか?いつからですか?」
まさに寝耳に水の状態な私に、鬼課長は「今月に入ってすぐ」と答える。
それって…。

「それって、私がファミリータイプの内装を提案した頃ですよね?」
「そ。お前の提案に俺が詳細を付けて下請けにGOを出した。特に一部を除いた工事の材料は運良く揃えられたし、工事費も予算内で収めることが出来そうだったから」
いつもと変わらない淡々とした口調で話す彼に、「そんな簡単に決めちゃっていいんですか?」と、口をあんぐり開ける私。


「大丈夫だろ。万が一問題が起これば、提案をしたお前が現場に走ればいいんだし」
「…ええっ?」

この人の言うことは、冗談でもそう聞こえないから怖い。

「よし。インテリア商品の発注をかけるから、最終チェックやるぞ」
「は、はい」
戸惑う私を余所に、鬼課長は私を仕事に引き込んだ。

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