お前は、俺のもの。
見るからに高価なドレスを着せられて、鬼課長の前に立たされる。
「次を」
と言われては、別のドレスに袖を通す。
──何故、服のサイズを知っているの?
素朴な疑問と共に、彼の前でドレス姿の私は軽く睨んでみる。さすが鬼だけあって、私が睨むくらいでは動じない。それどころか、少し目を細めて楽しそうに私を見ている。
──どうせ、ぽっちゃり系ファッションショーくらいにしか思ってないくせに。
帰りたい、と思った。
ああ、ジャージが恋しい。
着せ替えタイムが始まって、十着目のドレスを着て鬼課長の前に立つ。
それまで微妙そうに目を細めていた彼が、フッと顔を上げた。腕組みを解いて、じっと私を見た。
深紅の生地のデコルテのシンプルな膝下丈のドレス。
「それにしよう」
鶴の一声とばかりに、副店長やスタッフたちが動き出した。
ドレスに似合う小物が次々と選ばれる。ベージュ色のレースのストール、ドレスと同色のパンプス、スワロフスキーで編まれたパーティー用のハンドバッグ。
大きなドレッサーに座らされる。
「ヘアメイクとお化粧直しをさせて頂きます」
と、スタッフの女性が無表情で私の髪にブラシを入れた。