お前は、俺のもの。

スタッフたちの見ている前で、真珠のネックレスは鬼課長の手によって私の首につけられる。
このドレスは前から見ても襟ぐりが大きく開いていて、胸の谷間までは見えないものの背中も同じくらい開いている。
背中を見られていると思うと、緊張してしまう。

鬼課長がネックレスの留め具を嵌めようとしているらしいが、手が止まっているようだ。
「……一ノ瀬課長?」
声をかけてみると、気づいたように「あぁ」と短く返事をして金具を留めてくれた。
そしてイヤリングもつけてもらい、
「この髪型、似合っている」
と言って、サイドを編み込んだ髪に優しく触れて、ふんわりと掬いあげる。
「……?」
再び動きの止まった鬼課長に、再び声をかけようか迷っていると、
「支払いをこれで」
と、私の後ろで支払いの話を始めた。
私は慌てて鬼課長を止めたが、

「今日は大人しく奢られておけ」
と、黒いカードをスッと財布へ収まる仕草だけで私を黙らせた。
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