お前は、俺のもの。

着ていた服などを紙袋に入れてもらい、お店を出た時には鬼課長は既に車の運転席で誰かと電話していた。眉間にシワを寄せてなんだか怒っているようだ。
電話の終わるのを待っていると、話を終えた彼はすぐに私に気づいて車から降りてきた。
「忘れ物はないか」
「はい。大丈夫だと思います」
彼は私の荷物を後部座席に乗せて、そして私の背中あたりに視線を落とす。
背中に触れられた部分がピリッと痛みが走り、肩がビクッと震えた。

スタッフたちの着せ替え人形にされた時に、何度も感じた背中のチクチクとした痛み。背中なので、自分でどうなっているのか見えない。
鬼課長はレースのストールをしっかりと後ろから肩へとかけてくれた。
「レースじゃなくて、シルクにするべきだったか」
と、苦々しく顔を歪めた。

鬼課長の運転する車の中、彼が「悪かった」と謝った。

「あのショップは兄の友人が経営していて、「宣伝になるから店で買い物してやって欲しい」と言われたから、時々使ってたんだがな。今日は俺が凪を連れてきたことでスタッフの女たちが妬んでお前を傷つけた。髪も強引にブラッシングしたんだろ。頭皮が赤くなってた。客相手でナンボの商売なのに、今日の接客はあり得ない。兄には「あのスタッフたちをクビにするまでは店には行かないし、誰かに店を薦める気もない」と言っておいた」
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