お前は、俺のもの。

翌日、慌ててロッカールームに駆け込んで着替えを済ませて営業部へ滑り込んだのは、始業時刻の三分前だった。
上がった息を整えながら、席に座ると向かいの綾乃から「おはようございます」と挨拶をされた。私も「おはようございます」と苦笑する。

──お母さんが起こしてくれなかったら、本当に遅刻していた。

心の中で、そっと母に感謝した。


綾乃が「凪さん」と呼ぶ。そして、彼女の視線が「向こうを見て」と合図した。
何気なく振り返ってみると、加瀬部長のデスクで由奈が彼の前で俯いていた。

──朝から、どうしたんだろう。


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