お前は、俺のもの。
「妥協のない、ステキな作品ですね」
「ああ。だから、間近で見たいと思った」
「日本にショールームはないのですか?」
「日本で取引している会社は一社だけだ。ショールームはない。発注するからには、職人を信じるしかない」
「すごい…掛け、ですね」
大丈夫なのかと少し驚く私に、鬼課長はフッと笑う。
「それもまた、面白いと思うけどな」
私も、意外とチャレンジャーな一面がある鬼課長を知れたことが嬉しかった。
「凪、少し買い物に行かないか。卵を買いたい」
西日が厳しい時間になり、私がベランダからシーツを取り込んだ時のことだ。
朝からの課長呼びのペナルティとして現在までの約三十分間、彼の腕の中で唇を食べられていた。
恥ずかしいくらい赤く熟した唇を見た鬼がやっと満足して解放してくれた。それなのに、ヒリヒリした唇のまま、私を買い物に連れていこうとする。
シーツを畳む私は、ジトッと鬼を睨む。
「いち…な、梛のせいで、まだ唇が痛いです」
と文句を言うと、彼は私に近づいて唇に触れて嬉しそうな顔をした。
「ん。唇、可愛い」
また重ねられたそれは、「ちゅっ」と小さなリップ音を立てた。