お前は、俺のもの。

あの後ろ姿、多分女性だと思う。
あれは無差別のイタズラなのか、それとも私と知っての…。少なくとも、偶然に何かが引っ掛かりベルトが引っ張られた感じではなかった。

不安な気持ちを胸に、アザラシの可愛らしい芸を見て鬼課長と過ごす。
最後にアザラシと記念撮影ができるというので、並んで彼と一緒にスマホで写真を撮ってもらった。

私、ちゃんと笑えていたかな。

ショルダーバッグに、ピンクの小さなイルカのチャームが揺れる。
水族館のショップで鬼課長が買ってくれたものだ。

──このぼんやりしたイルカの顔が、凪に似ているから。

なんともこの失礼な理由に、嬉しかった矛盾な気持ちも、また事実だ。
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